「菊と刀」を読み、私も日本レンズをかけていることに気がつく

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今回読んだ本「菊と刀」ベネディクト

「日本人的」とは?

「菊と刀」は、アメリカの文化人類学者の著者ベネディクト先生(女性)が、太平洋戦争の際に日本研究を依頼され、その報告を基にして書かれています。

私は自分のことを「日本人的だな…」と思うことがよくあります。

主張が苦手だったり、周りの目を気にしすぎたり。大抵はネガティブな意味です。

私の両親は共働きで、ほとんど祖母に育てられました。

祖母は戦争を経験している人なので、まさにこの本が書かれたころの日本人だと思います。

70年以上前に書かれた本だけど、私はその時代の祖母に育てられているし、この本を読むことで、私が日本人的だな…とネガティブに考えてしまうことについて理解できるのでは?という思いから、この本「菊と刀」に興味を持ったので読んでみました。

読んでみて、70年以上前とは思えない、現在を生きる私にとっての「わかる!」があったのでまとめます。

日本人にとっての当たり前とは

日本人の行動を合理的に理解するために必要な、日本人にとっての当たり前。

その中で私がわかる、と感じた内容について3つ記載します。

相応しい振る舞いをせよ

日本人は、「つねに上下関係を基準にして自分たちの世界を秩序づける」「身の置きどころが階層に沿って区切られており、上の者も下の者も、おのおのの分を超えると必ず罰せられる」

私の職場では、今でも新人は新人らしく振る舞うことを期待され、先輩は先輩らしく振る舞うことを期待されてるように感じます。

「もう先輩なのだから、もう何年目なのだから」こんなふうな言葉が出てくる私の職場は、とても「日本人的な秩序」が残っているのかもしれません。

私自身も、会議などで「この発言を今私がすることはおかしいことかな」と気にしてしまうのはこれな気がします。

「この内容を」「この場で」「私が」発言するのは相応しいのか。

そんなことを気にしてしまうのは、私が「日本人」の習慣をしっかり身につけているということのよう。

恩は借金並みに重い

「恩とは、肩の荷、すなわち返すべき借である」

外国から見た日本人の恩とは、返さなければならない借金のようなもの。

恩は返さなければ、という感覚は日本人的なもののよう。

恥を絶対かきたくない

「日本人は失敗が恥となるような場を設けないように努める。日本人は汚名をすすぐという義務にかくも力点を置いているが、それゆえに実際の生活では、出来るだけ侮辱を感じなくてもすむように事を運ぶ。」

悪口を言われたり、嘲笑されたり、侮られたり、軽んじられたりすると屈辱を受け、恥を書かされたと確信し、日本人は報復することが美徳となるそう。

失敗しても知られなければ恥をかかなくてすむ。だから成功が確実になるまではみんなに内緒にするってよくあるような。私も失敗して恥をかいたらどうしよう、みんなになんて思われるかな、をすぐ気にしてしまいます。

私は日本レンズをしっかりかけている

著者が日本において当然のこと、当たり前のこととみなされている習慣として述べた内容について、私の感想は「ほとんどわかる」でした。

著者は「ある国の人々が現実を見つめる際に使うレンズは、他の国民が使うレンズと同じではない」と言っています。他の国で育った人はその国のレンズを通して世界を見る。

私は日本で生まれ育った日本人で、無意識に日本人としての「レンズ」をかけて世界を見ている。

そして日本人がかけているレンズは応分の場、恥、恩など。

「私めっちゃ日本レンズかけている!」という事に気がつくことができました。

レンズならかけていると気づければはずす事もできる!?

日本で暮らす中で、日本レンズが役に立つことはもちろんたくさんあって、みんなの当たり前が一緒だから心地よいことはたくさんあります。またこの本が書かれたのは、70年以上前なので、日本人レンズの内容も変わっているかもしれません。

でも「自分がレンズをかけていること」を知っていると、もっと楽に生きやすくなるのでは?と感じました。

以前「繊細さんの本」を読んだとき、繊細さんが普通に感じる感覚が、非繊細さんには「ない」ということを知りました。

これも同じで、日本レンズがある人が普通だと感じる感覚が、日本レンズをかけていない人には「ない」。

こういうふうに考えるのは応分の場(分相応)レンズのせいでは?失敗して恥をかきたくないと感じるのは恥レンズのせいでは?日本レンズをみんながかけていても、自分にとってないほうが楽な時にはそっと外す。

他にも、今自分が所属しているコミュニティのレンズや、さまざまな「無意識に当たり前と感じるレンズ」を外せるようになったら、もっと違う見方ができて、楽に生きていけるのかも。「菊と刀」から日本レンズの存在を知ることができたので、時には外せるように、訓練していきたいと思います。

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