今回読んだ本「リア王」ウィリアムシェイクスピア 安西徹雄 訳
シェイクスピアの…リア王…?
このお話は「悲劇」です。
もともと劇なので、お話は舞台に出てきた登場人物と場所の説明以外はセリフだけで進んでいきます。
私はこれまで、お話は基本ハッピーエンドという気がしていて、「悲劇」はあまり読む気がしませんでした。
また、お話を読むなら小説として書かれたものの方が楽しく読めるのでは?とも思っていました。
そんな私ですが、たまたま読んだ本(「敗者のゲーム」)の中でおすすめされていたので、「リア王」を読んでみました。
ちなみに、私は”シェイクスピア”の「リア王」と書かれていなければ、「え、誰の作品?」というくらいの知識でしたが、読み終わって、「シェイクスピアの作品もっと読んでみたい!」という気持ちになりました。
「シェイクスピア」も「リア王」も全く知識なし(舞台ほとんど見ない)で読み始めた私が、面白いと感じた部分についてまとめます。
「リア王」を読んで、面白いと感じたところ
面白いと感じた理由が以下の3つです。
全ての始まりがカッとなったリア王
このお話は、王様のリアが、生きている間に自分の財産(国)を三人の娘に分け与えようとするところから始まります。
それも権力だけではなく、生きていくために必要な費用も全て娘に面倒を見てもらうつもりで全部与えます。
もともとは3つに分ける予定でしたが、なんだかんだでカッとなって長女と次女の2人に与え、三女には何も与えない!とその場で決めてしまうことから悲劇が始まります。(本当は3女が一番父を思ってくれる子なのに)
この決定により、この後最後までリア王は散々な目に遭います。
こんな大事な決定をカッとなって決めたりせず、冷静な時にちゃんと考えていればこんな悲劇にならなかったのでは…?これが年齢のせいなのかはわかりませんが、カッとなって周りの注意も聞けない状態での決断はとても危険。だめ、ぜったい。
最後まで報われないコーディリア(一番優しい)
二つ目に、三女のコーディリアはいい子なのに報われない。他にもいい人みんな報われない。不条理な世界…。
コーディリアは、財産をもらえなくてもずっと父のリア王を想っていますが、最後には死んでしまいます。
翻訳者の解説には、「圧倒的にわれわれの魂を揺さぶり、賢しらな判断を拒み、虚な賛辞など奪い去る巨大な悲劇である所以は、まさしくこの、有無を言わさぬ不条理の深さ、その衝迫にあるのではないだろうか。」とあります。
三女コーディリアのセリフにも「最善を思いながら最悪の結果に終わったのは、けっして私たちが初めてではない。」とあります。
私はハッピーエンドのお話ばかり読んできたので、「え、コーディリア死ぬの?」と思ったのですが、現実ではいい人が報われるとは限らない。このお話はそれを書いているだけ。
劇的だからゴタゴタドロドロが読める!?
「わしらはみんな、この世に生まれて、道化ばかりの、この、世界という、大きな舞台に放り出されて、泣いたのじゃ。」
これはリア王のセリフですが、セリフがとても劇的です。(舞台で演じるものだから当然かもしれませんが)
セリフが長いところもありますが、「なるほど」と感じるセリフがリズムよく進んでいきます。
親子のゴタゴタ、権力のゴタゴタ、愛人のゴタゴタで喧嘩して何人も死んでく話なので、現代が舞台のドラマや小説だったらドロドロで受け付けなかったかも。
今でも起こりうる悲劇をリズムよく
ハッピーエンドではなくても、劇的な言葉でリズムよく進み、頭の中に舞台をイメージしながら楽しく読むことができました。
シェイクスピアがリア王を書いたのは1605年で、今から400年ほど前だそうですが、財産をもらってから長女と次女がリア王を厄介者扱いし始めるところなど、今でもありそう…と読んでいて感じました。
「敗者のゲーム」(投資についての本)の中でこの本をお勧めしているのは、生涯を通じた投資プランについて書かれている章(引退後の生活、遺産について書かれている)の最後です。
投資で有名な本の著者が勧めるほど、このリア王のような、財産を分けることからの悲劇は現代でも起こるから気をつけろ、ということなのかもしれません。
シェイクスピアの他の作品にも興味が湧く
シェイクスピアの作品の中で、初めてちゃんと読んだのですが、シェイクスピアの他の作品にも興味が沸きました。
他の作品、ハムレット(悲劇)やマクベス(悲劇)も読んでみたいと思います。
悲劇ばっかりなので少しずつ。
私は現実の世界は不条理なものと、最近ユダヤ人のタルムードでも学んだところ。
世の中の不条理に対して、こう言ったお話を読むことで耐性をつけておきたいと思います。
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