今回読んだ本「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」尾原知啓
プロセス?エコノミー?
プロセスエコノミーという言葉、ご存知でしょうか?
プロセス=「過程、工程、方法」、エコノミー=「経済」
プロセスエコノミーとは、過程から共有することでお金を稼ぐ商売の仕方、というような意味。※例えば、Nizi Projectなど。プロセスをアウトプットしているのでプロセスエコノミー。
私はマーケティングやものを直接売る仕事には携わっていないデスクワークの会社員です。
プロセスエコノミーも初耳…くらいの知識ですが、Amazonでこの本「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」の表紙を見たときに、帯の部分にあった、「“良いモノ”だけでは稼げない時代」という言葉が気になりました。
そこでふと思ったこと、「私自身、最近何を基準にして買い物している?」
自分を含めた世の中の”消費行動”が変化が気になったので、読んでみることにしました。
買い物の変化について
私は、この本の前半部分、「第1章なぜプロセスに価値があるのか」、と「第2章人がプロセスに共感するメカニズム」が特に面白く感じました。
その中から、「人(私たち)の買い物の変化」について私が気になったことをまとめます。
価値観の変化
これからの社会では、「役に立つ」ことより「意味がある」ことの方が価値がある
プロセスエコノミー
「意味がある」を目指す場合、そのプロセスを消費者と共有し、その「意味」を伝えていくプロセスエコノミーが、重要な役割を果たすのです。
プロセスエコノミー
今の30代以下の世代は、生まれた時から社会に「ないものがない」時代。
だから、ただの生活必需品のような役に立つ商品より、自分らしい人生を生きるうえで特別な意味を与えてくれるものの方が価値が高い。
買い物においても、他人が望むようなものが欲しいというような価値観ではなく、自分が心から好きだと思えるものが欲しい、その企業のビジョンや生産者の生き方にまで共感できるものを買いたいという思いを持っているそう。
確かに「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」なんて本がベストセラーになる程、必要なモノは十分に揃っています。個人的には、今あるもの以上に必要なものを探す方が大変。(調味料くらいしか思いつかない…)
消費行動で所属欲求を満たす
自分のアイデンティティを支えてくれる、自分の所属欲求を満たしてくれることをブランドに求め始めている
プロセスエコノミー
もともとアイデンティティを満たしてくれていた、家族、ご近所、会社という3代所属先が全て希薄化し、「どこかのグループに所属したい」という所属欲求を満たすことを消費活動にも求めるようになってきている。
私はこの部分で、インスタのハッシュタグを思い出しました。
自分が使っているモノや食べものについて、自分はこういう人間だと「タグ」付けして発信する。
それを見た、自分と同じアイデンティティを持つ仲間と繋がる。
リアルの世界の所属先が希薄化している今は、共感してくれる人が一定数いることで、自分に自信が持てるのかもしれません。
こういった「所属欲求を満たせるモノを買う」のが、これからの消費行動のあり方で、これからの価値観なのかも。
プロセスに共感するメカニズム
プロセスエコノミーは人間本来のメカニズムと非常に相性がいい。
プロセスエコノミー
人間が新しい行動を起こすときには、実は論理的な脳ではなく、感情的な脳に従っているらしく、ワクワクを共有し、キュンと動く感情にアプローチした方が効果的だそう。
自分のプロセス(私はこういうふうに生きてきた)を開示し共有することで、自分の中にあるストーリーが異なる他者のストーリーと重なっていく(共感・共通点)。これはオバマ元大統領が選挙戦の演説でも取り入れていた手法。
話を聞いている人が、一緒に歩きたくなるようなストーリーがあれば、お客さんを一緒に冒険する仲間にしていくことができる。
なんでもある今の時代の価値観
この本を読んだ私(モノを直接売る仕事やマーケティングの担当ではない、デスクワーク会社員)は、消費行動でも、「アイデンティティ支えてくれることに価値を感じている」の部分に共感しました。
その商品を買う・持つ理由の中に、自分の「価値・アイデンティティにしたい」は確かに今の私(30代女性)でもあります。
「こういう理由があって、これを選んだ」といえる「こだわりや背景」があると、少し高くてもそっちを選んでいる気がします。環境に配慮している、とか、ユーザーが使いやすいものを追求している、とか。
「モノ」自体よりも、「これを選んだ、選べる自分」に価値を感じているのかもしれません。
ミニマリストが増えているのも、消費行動の変化から?
これからの私たちの買い物には「意味」や、「アイデンティティー」などの価値が必要になっていく。
だから、人が共感するメカニズムを利用した「プロセスエコノミー」が大切になっていく。
洗濯の手間を減らしたくて、洗濯機が売れていた時代は過ぎ去って、洗濯機があるのは「当たり前」。しかもどの洗濯機もある程度の機能は当たり前。
だから差別化するには別の部分(なぜやるのか・哲学・こだわり=プロセスやストーリー=why)が必要。
この本を読んで、最近、ミニマリスト(最小限で暮らす人たち)が増えているのも、物自体ではなく、他の部分に価値を感じる人が増えているという「価値観・消費行動の変化」と関わっているように感じました。
何かを買う時、自分は機能としての「モノ」が欲しいのか?
それともこの「モノ」を買うことで自分の価値やアイデンティティを持ちたいのか。
なんとなく行っていた自分の消費行動についても、理解するきっかけになったと思います。
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