今回読んだ本「大量廃棄社会〜アパレルとコンビニの不都合な真実〜」仲村和代 藤田さつき
服を捨てる罪悪感
最近、お洋服に関して、本当に「いいものが安く」手に入る時代だと感じます。
私は今30代ですが、こんなに「安くていいものが当たり前」になったのはいつからだったかな?と感じます。
今は、「インスタでおすすめされているものを、ユニクロで買う」で十分。
ただ、翌年になるとトレンドが変わるので、また「インスタでおすすめされているものを、ユニクロで買う」この繰り返し。
お洋服は「消耗品」としてクローゼットに入っては出ていく。
でも、そんなワンシーズンしか着なかった服を捨てる時の罪悪感…
いくらお洋服が消耗品だとしても、スパンが早すぎないか?
そんな時に、「大量廃棄社会〜アパレルとコンビニの不都合な真実〜」を知りました。
説明文には「このままじゃだめだよな」の一言。
このままじゃだめ…なのはなぜ?が知りたくて読んでみました。
「安くていいもの」は当たり前じゃなかった!
結論として、「安くていいものは当たり前」ではないということをこの本から学びました。
知らないから、「当たり前」だと感じていただけ。私がそう感じた理由について3つ記載します。
4枚に1枚は新品で廃棄されている
アパレルでは、「商品を陳腐化する」というセオリー(理論)がビジネスモデルの中心。
これは、前シーズンの商品の価値を「下げて」新しい商品を売っていくということ。
でも、在庫が安く出回ってしまうと、ブランド価値の毀損につながる。だから「廃棄」している。
その廃棄の量は、供給量の4分の1、4枚に1枚のお洋服は新品で客の手に渡らないまま捨てられている!
私が驚いたのは、これが「新品」で捨てられている量だということ。
私がワンシーズンしか着なかった服を捨てる以外にも、これだけのお洋服が捨てられている。きっと私が可愛いと思って買った全く同じデザインのお洋服も4分の1は誰も着ることなく捨てられている…。
服の値段が安くなる陰で、誰かが泣いている。
洋服が大量廃棄される背景には、先進国で低価格の服が大量に消費される現状と、それを支えるために生産現場で行われてきた過酷な労働の実態がある。
大量廃棄社会〜アパレルとコンビニの不都合な真実〜
日本の技能実習生の受け入れ機関で、「不正行為」(最低賃金違反、賃金未払い、違法な時間外労働)を認定した183業者のうち、繊維産業が94、そのほとんどが縫製業者だったそう。
そしてそれは、実習生たちに働かせて雇い主が甘い汁を吸っているからというわけではない。
安い工賃で仕事を受けざるを得ない状況が縫製業ではある(メーカーには逆らえない)ため。
また、海外では、「世界の縫製工場」と言われるバングラデシュでも労働環境が問題視されている。
バングラデシュでは女性の社会的地位が低く、過酷な労働環境でも縫製工場での仕事は、現金収入を得て自由を得るための手段でもある。
ファッション業界の問題は、構造的に女性の低賃金労働で成り立っていること。これは日本でも海外でも変わらない
大量廃棄社会〜アパレルとコンビニの不都合な真実〜
リサイクルされるから?
捨てられる服が多すぎて、リサイクル業界は飽和状態。
リサイクル意識が高まった結果、言い換えれば、「リサイクルしてくれるなら」と消費者が服を気軽に処分するようになった結果、皮肉なことに古着のリサイクル工場はキャパオーバーに陥っていたのだ。
大量廃棄社会〜アパレルとコンビニの不都合な真実〜
確かに、服をただ廃棄するよりはいいとしても、「リサイクルされるから」といって短いサイクルで買っては捨てるを繰り返すのは本末転倒。
いくらリサイクルの技術が発達しても、私たちがそもそも「捨てすぎて」いたら、環境に優しいとは言えない…
「リサイクルされるから」を安い服を簡単に処分する免罪符にしてはいけないと感じました。
私はファッションのシステムに踊らされている
「定番のアイテムでも、数年したら形が古くなりますよ。」「今年のトレンドはこうですよ。」
そう言われると、数年前の服を着ている自分が「もしかして古い?」と感じてしまい、ワンシーズンでもこの値段ならいいか。と新しい服を買う。着なくなったら、捨てるのは勿体無いしフリマアプリに出すか、店頭リサイクルに出す。
これはまさに、「商品を陳腐化する」というビジネスモデルに踊らされた私の行動。
バレンタインにチョコレートを配りたくなるのと一緒でした。
そうやって知らない間に踊らされていることが、劣悪な労働環境や、大量廃棄につながってたとしたら。
自分のお洋服の楽しみ方、立ち止まって考える必要があると思います。
いいものを安くではなく、いいものを適正な価格で
SDGs、最近になって本当によく聞くようになったと思います。
この本の中にもありましたが、「みんな知ることさえできれば、気配りができる」。
これまで、私は自分のお洋服を誰がどのように作っているのかを知りませんでした。
「いいものが、安く買える時代になってよかった」程度の感覚でした。
でも、この本で知ったような、大量の廃棄、過酷な労働環境のおかげで安く手に入れているのだとしたら。
「いいものを、安く」ではなく、「いいものを、適正な価格で」。それが、これからの賢い消費者の姿だ。
大量廃棄社会〜アパレルとコンビニの不都合な真実〜
私はセンスに自信があるおしゃれさんではないですが、それでもお洋服は私に力をくれるもの。
自分に自信をくれるお洋服を、これからも楽しみたいと思っています。
世の中の仕組みにただ踊らされるのではなく、賢い消費者を目指して、自分の消費行動を考えたいと思うきっかけになる本でした。
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